📅 2025-12-31 23:00
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🏷️ AARRR
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Acme Data Solutions社のJOURNEY事件が解決した翌日、今度は業務システムのDX推進に関する相談が届いた。第二十九巻「再現性の追求」の第370話、最終話は、成長の5段階で定着を実現する物語である。
「探偵、我々の業務は、全てExcelです。現場管理、進捗管理、数字管理。営業担当ごとに独自のExcelファイルを作成しています。しかし、管理者が進捗を把握できません。引継ぎもスムーズにできません。2025年4月からDX推進の方針が出ましたが、社内のITリテラシーが低く、どう進めるべきか分かりません」
Optimus Solutions社 の業務改革部長、大阪出身の佐藤健二は、困惑した表情でベイカー街221Bを訪れた。彼の手には、営業担当者ごとに異なるフォーマットで作成された膨大なExcelファイルと、それとは対照的に「Digital Transformation Strategy 2025-2027」と記された最新のDX戦略資料が握られていた。
「我々は、建設現場向けの資材管理システムを提供しています。従業員50名。年商8億円。営業15名、エンジニア25名、管理10名。しかし、営業の業務管理が属人化しています」
Optimus Solutions社の現状: - 設立:2015年(建設現場向け資材管理システム) - 従業員数:50名(営業15名) - 年商:8億円 - 問題:Excel管理の属人化、進捗把握困難、ITリテラシー不足、引継ぎ不可
佐藤の声には深い焦燥感があった。
「営業の業務を説明します。まず、現場管理。建設現場ごとに案件を管理します。顧客名、現場名、進捗状況、次回訪問予定。これを各営業がExcelで管理しています。しかし、フォーマットがバラバラです。Aさんは縦軸に顧客、横軸に日付。Bさんは縦軸に案件、横軸にステータス。統一されていません。
次に、進捗管理。案件ごとに、提案→見積→契約→導入→稼働という5段階があります。各営業がExcelで管理していますが、管理者が一元的に把握できません。『今月、契約見込みの案件は何件?』と聞いても、すぐに答えられません。
最後に、数字管理。売上、粗利、受注件数。これもExcelで管理しています。しかし、集計に時間がかかります。月末に営業15名から個別にExcelを回収し、手作業で集計します。3日かかります」
Excel管理の実態:
現場管理(営業15名、各自独自フォーマット): - Aさんのフォーマット:顧客名、現場名、進捗、次回訪問(縦軸:顧客、横軸:日付) - Bさんのフォーマット:案件名、ステータス、担当者、金額(縦軸:案件、横軸:ステータス) - Cさんのフォーマット:顧客コード、案件コード、フェーズ、確度(独自コード使用) - 統一性:0%(15名が15通りのフォーマット)
進捗管理(5段階): 1. 提案:初回訪問、課題ヒアリング 2. 見積:見積書提出 3. 契約:契約書締結 4. 導入:システム導入 5. 稼働:本番稼働開始
問題: - 各営業がExcelで管理、管理者が全体を把握できない - 「今月の契約見込み件数は?」→集計に半日かかる
数字管理(月末集計): - 各営業がExcelで売上・粗利・受注件数を記録 - 月末に管理者がExcelを回収(15ファイル) - 手作業で集計(3日間) - 集計ミスが月2-3件発生
佐藤は深くため息をついた。
「さらに問題があります。引継ぎができないことです。昨年、営業のDさんが退職しました。後任のEさんに引き継ごうとしましたが、DさんのExcelが複雑すぎて理解できません。マクロが組まれていて、数式が200個以上。Eさんは『どこを見れば良いか分かりません』と困惑していました。結局、引継ぎに1ヶ月かかりました。
ANDPADという現場管理システムは、2025年度に導入が決定しています。しかし、『進捗管理』と『数字管理』については、システム選定中です。候補はSalesforceですが、ITリテラシーが低い営業が使いこなせるか不安です」
「佐藤さん、Salesforceを導入すれば、全ての問題が解決すると思っていますか?」
私の問いに、佐藤は戸惑った表情を見せた。
「はい、システムを導入すれば、属人化が解消されると思っています。しかし、営業が使ってくれなければ意味がありません。そこが不安です」
現在の理解(システム導入型): - 期待:Salesforce導入で属人化解消 - 問題:定着プロセスが見えていない、使われなければ無意味
私は、成長の5段階で定着を実現する重要性を説いた。
「問題は、『システムを導入すれば終わり』という考えです。AARRR——Acquisition、Activation、Retention、Referral、Revenue。獲得、活性化、定着、紹介、収益。この5段階で成長戦略を設計します。システムは導入がゴールではなく、定着がゴールです。再現可能な定着は、5段階の成長戦略から生まれます」
「導入して終わりにするな。AARRRで獲得から収益まで5段階の成長戦略を設計せよ」
「システムは、いつも『道具』に過ぎない。使う人が育たなければ、宝の持ち腐れ」
「AARRRで設計せよ。獲得、活性化、定着、紹介、収益。5段階が揃えば、真の成長が実現する」
3人のメンバーが分析を開始した。Geminiがホワイトボードに「AARRRフレームワーク」を展開した。
AARRRの5段階: 1. Acquisition(獲得):ユーザーを獲得する 2. Activation(活性化):初回体験で価値を実感させる 3. Retention(定着):継続的に使用させる 4. Referral(紹介):他のユーザーに紹介させる 5. Revenue(収益):収益を生み出す
「佐藤さん、まずSalesforce導入をAARRRの5段階で設計しましょう」
ステップ1:Acquisition(獲得)段階の設計(Month 1-2)
目標:営業15名全員がSalesforceアカウントを取得し、ログインする
Month 1:Salesforce契約・初期設定
契約内容: - プラン:Salesforce Sales Cloud Professional - 価格:月額9,000円/ユーザー × 15名 = 13.5万円/月 - 初期設定費:50万円(カスタマイズ、データ移行)
初期設定: - 案件管理:提案→見積→契約→導入→稼働の5段階設定 - ダッシュボード:営業別売上、進捗状況、受注件数 - モバイルアプリ:iPhoneアプリで外出先から入力可能
Month 2:全営業15名へのアカウント発行
キックオフミーティング: - 参加者:営業15名、管理者5名 - 内容:DX推進の背景説明、Salesforceのメリット説明 - メッセージ:「Excel管理から解放され、本来の営業活動に集中できる」
アカウント発行: - 全営業15名にアカウント発行 - ログイン方法の個別サポート(1人30分)
Acquisition KPI: - 目標:15名全員がログイン - 実績:15名全員がログイン(達成率100%)
ステップ2:Activation(活性化)段階の設計(Month 3)
目標:営業15名が初回体験でSalesforceの価値を実感する
Month 3:クイックウィン戦略
クイックウィンとは: - 短期間で小さな成功体験を積ませる - Salesforceの価値を実感させる
具体的施策:
施策1:最も簡単な機能から始める - 顧客情報登録のみ(案件管理はまだ) - 理由:顧客情報登録は理解しやすい、成功体験を積みやすい
施策2:ゲーミフィケーション - 「顧客情報登録キャンペーン」を実施 - 目標:1人10件の顧客情報登録(1週間) - 達成者には社内表彰(Amazonギフト券5,000円)
施策3:個別サポート - ITリテラシーが低い営業3名に個別サポート(各2時間) - 画面共有しながら一緒に登録
Month 3結果:
顧客情報登録件数: - 目標:150件(15名 × 10件) - 実績:178件(達成率119%) - 最多登録:Aさん 18件 - 最少登録:Bさん 8件(個別サポート実施)
営業の声: 「最初は『また新しいシステムか』と思いました。でも、顧客情報を登録すると、スマホでも見られます。外出先で顧客情報を確認できて便利です」(営業Cさん)
Activation KPI: - 目標:15名全員が10件以上登録 - 実績:13名が10件以上登録(達成率87%) - 未達成2名:個別サポート継続
ステップ3:Retention(定着)段階の設計(Month 4-6)
目標:営業15名が毎日Salesforceを使用する習慣を作る
Month 4:案件管理の本格運用開始
運用ルール策定: - 毎日朝9時:今日の訪問予定をSalesforceに登録 - 訪問後:進捗状況を即座に更新(5段階のどこにいるか) - 毎週金曜17時:来週の予定を登録
習慣化のための仕組み:
仕組み1:朝会での進捗共有 - 毎朝9時15分に営業チーム朝会 - Salesforceのダッシュボードを画面共有 - 各自の今日の予定を口頭で確認
仕組み2:週次レビュー - 毎週金曜17時に週次レビュー - 今週の進捗、来週の予定をSalesforceで確認 - 「今月の契約見込み件数は?」→Salesforceで即座に表示
仕組み3:リマインダー通知 - 訪問予定の1時間前にスマホに通知 - 進捗更新を忘れた案件に毎日18時にリマインダー
Month 4-6結果:
日次ログイン率: - Month 4:73%(15名中11名が毎日ログイン) - Month 5:87%(15名中13名が毎日ログイン) - Month 6:93%(15名中14名が毎日ログイン)
進捗更新率: - Month 4:65%(訪問後に進捗更新する率) - Month 5:82% - Month 6:91%
営業の声: 「最初は面倒でした。Excelの方が慣れていたので。でも、朝会でダッシュボードを見ると、自分の進捗が一目で分かります。『今月あと何件契約すれば目標達成か』がすぐ分かります。週次レビューでも、『今月の契約見込みは?』と聞かれて、即座に答えられます。管理者からの信頼も上がりました」(営業Dさん)
Retention KPI: - 目標:日次ログイン率80%以上 - 実績:Month 6で93%(達成率116%)
ステップ4:Referral(紹介)段階の設計(Month 7-9)
目標:営業チームが他部門にSalesforceの良さを紹介し、全社展開を実現する
Month 7:営業チームの成功事例を社内共有
全社会議での発表: - 営業部長が全社会議で成功事例を発表 - 内容: - Excel管理から脱却、進捗可視化を実現 - 月末集計時間:3日 → 1時間に短縮(95%削減) - 引継ぎ時間:1ヶ月 → 1週間に短縮(75%削減) - 営業活動時間:月80時間 → 月100時間に増加(管理業務削減)
他部門からの反応: 「エンジニア部門でも、プロジェクト管理をExcelでやっています。Salesforceを使えば効率化できるのでは?」(エンジニア部長)
Month 8-9:エンジニア部門への横展開
エンジニア部門の課題: - プロジェクト管理をExcelで実施 - 進捗把握が困難 - 工数集計に時間がかかる
Salesforce拡張: - プロジェクト管理機能を追加 - エンジニア25名にアカウント発行 - 営業チームが導入サポート(ナレッジ共有)
Month 9結果: - エンジニア25名がSalesforce利用開始 - 全社40名(営業15名 + エンジニア25名)に拡大
Referral KPI: - 目標:他部門1部門への展開 - 実績:エンジニア部門25名に展開(達成率100%)
ステップ5:Revenue(収益)段階の設計(Month 10-12)
目標:Salesforce活用により、売上・利益を向上させる
Month 10-12:データドリブン営業の実現
データ活用施策:
施策1:案件の確度分析 - Salesforceのデータを分析 - 「提案から見積に進む確率」「見積から契約に進む確率」を算出 - 結果: - 提案→見積:60% - 見積→契約:45% - 提案→契約:27%
施策2:高確度案件への集中 - 契約確度が高い案件を優先訪問 - 低確度案件は訪問頻度を下げる - 結果:営業効率向上、受注率向上
施策3:失注理由の分析 - 失注案件の理由をSalesforceに記録 - 理由別集計: - 価格(45%)、機能不足(30%)、競合(15%)、その他(10%) - 対策:価格交渉の改善、機能追加の提案
Year 1結果(Month 12):
売上向上: - Before(2024年):年商8億円 - After(2025年):年商9.2億円 - 向上率:+15%(+1.2億円)
受注件数向上: - Before:年間120件 - After:年間145件 - 向上率:+21%(+25件)
営業1人あたり売上: - Before:8億円 ÷ 15名 = 5,333万円/人 - After:9.2億円 ÷ 15名 = 6,133万円/人 - 向上率:+15%
粗利向上: - Before:粗利率35% → 2.8億円 - After:粗利率38%(効率化により) → 3.5億円 - 向上額:+7,000万円
Revenue KPI: - 目標:売上+10% - 実績:売上+15%(達成率150%)
投資対効果(Year 1):
投資: - Salesforce利用料:13.5万円/月 × 12ヶ月 = 162万円 - 初期設定費:50万円 - 研修費:30万円 - 合計:242万円
効果: - 粗利向上:+7,000万円 - 管理業務削減:3日 → 1時間(月末集計)、人件費削減 約300万円/年 - 引継ぎ効率化:1ヶ月 → 1週間、人件費削減 約200万円/年 - 合計効果:7,500万円/年
ROI(Year 1): - (7,500万円 - 242万円) / 242万円 × 100 = 2,999% - 投資回収期間:242万円 ÷ 7,500万円 = 0.03年(11日)
Year 2(2026年):全社展開完了
対象部門拡大: - 営業部門:15名 - エンジニア部門:25名 - 管理部門:10名 - 合計:50名(全社)
Salesforce利用料: - 9,000円/月 × 50名 = 45万円/月 - 年間540万円
Year 2効果: - 売上:9.2億円 → 10.8億円(+17%) - 粗利:3.5億円 → 4.3億円(+23%) - 全社業務効率化による人件費削減:800万円/年
Year 2 ROI: - (8,000万円 - 540万円) / 540万円 × 100 = 1,381%
営業部長の声:
「AARRRで5段階の成長戦略を設計したことが、成功の鍵でした。Acquisition(獲得)でアカウント発行、Activation(活性化)でクイックウィン、Retention(定着)で習慣化、Referral(紹介)で他部門展開、Revenue(収益)で売上向上。
特にActivation(活性化)段階のクイックウィンが重要でした。最初から複雑な機能を使わせず、『顧客情報登録』という簡単な機能から始めました。ゲーミフィケーションで成功体験を積ませ、『Salesforceは便利だ』と実感させました。
Retention(定着)段階では、朝会と週次レビューで習慣化しました。『毎日使う仕組み』を作ったことで、日次ログイン率93%を実現しました。
そして、Referral(紹介)段階で、営業チームの成功事例が他部門に広がりました。エンジニア部門が『我々も使いたい』と言ってくれたことが嬉しかったです。
Revenue(収益)段階では、データドリブン営業を実現しました。Salesforceのデータ分析で、高確度案件に集中し、売上を15%向上させました。Year 1でROI 2,999%、投資回収11日。Year 2でも売上17%向上。
AARRRは、システム定着の羅針盤です。5段階が揃えば、真の成長が実現します」
その夜、AARRRの本質について考察した。
Optimus Solutions社は、「Salesforceを導入すれば終わり」という一発勝負の発想を持っていた。しかし、システムは導入がゴールではなく、定着がゴールである。
AARRR——Acquisition、Activation、Retention、Referral、Revenue。獲得、活性化、定着、紹介、収益。5段階で成長戦略を設計した。
Acquisitionでアカウントを獲得し、Activationでクイックウィンにより価値を実感させ、Retentionで習慣化により定着させ、Referralで他部門に紹介させ、Revenueで売上向上を実現した。
日次ログイン率93%、売上15%向上、粗利7,000万円増、ROI 2,999%、投資回収11日。Year 2では全社展開を完了し、売上17%向上、ROI 1,381%。
そして、第二十九巻「再現性の追求」の全10話が完結した。PDCA、PPM、RFM、VRIO、3C、バリューチェーン、MANDALA、BSC、EMPATHY、JOURNEY、AARRR。11のフレームワークで、再現可能な変革を実現した。
「導入して終わりにするな。AARRRで成長の5段階を設計せよ。獲得、活性化、定着、紹介、収益。5段階が揃えば、システムは定着し、真の成長が実現する。成長戦略の設計が、再現可能な定着を生む」
次なる事件もまた、成長の5段階で定着を実現する瞬間を描くことになるだろう。
そして、ROI探偵事務所の扉は、今日も開かれている。
「AARRR——Acquisition、Activation、Retention、Referral、Revenue。5段階の成長戦略を設計せよ。システムは導入ではなく、定着がゴール。成長の設計が、真の変革を実現する」——探偵の手記より
「再現性を追求するために経験を記録し分析する。小さな世界を構築しつなげていく。第二十九巻、完」——所長の日誌より
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