ROI事件ファイル No.352|『Global Invoice Solutions社の月400件という紙の山』

📅 2025-12-13 23:00

🕒 読了時間: 21 分

🏷️ PDCA


ICATCH


第一章:紙回覧という非効率——1件に3日かかる承認

Avalon Systems社のERP導入事件が解決した翌日、今度は請求書管理業務の効率化に関する相談が届いた。第二十九巻「再現性の追求」の第352話は、改善を回し続ける物語である。

「探偵、我々の請求書管理は、紙地獄です。販売管理システムから請求書を発行しますが、お客様への送付可否確認が紙回覧です。月400件の請求書が、全て紙でファイリング保管されています。そして、業務負荷が限界です」

Global Invoice Solutions社 の経理部長、品川出身の佐藤美香は、疲弊した表情でベイカー街221Bを訪れた。彼女の手には、承認印が押された請求書の束と、それとは対照的に「承認所要時間:平均2.8日」と記された業務分析レポートが握られていた。

「我々は、企業向けのインボイス管理ソリューションを提供しています。従業員80名。年商28億円。しかし、自社の請求書管理が非効率です」

Global Invoice Solutions社の現状: - 設立:2010年(インボイス管理ソリューション) - 従業員数:80名 - 年商:28億円 - 月間請求書発行件数:約400件 - 問題:紙回覧による承認、紙ファイリング保管、販売管理システムとの連携不足

佐藤の声には深い焦燥感があった。

「請求書の発行フローは以下の通りです。まず、販売管理システムで請求書データを作成します。次に、PDFを印刷します。そして、紙の請求書を上司に回覧し、承認印をもらいます。承認後、お客様にメール送付します。最後に、紙の請求書をファイリング保管します」

典型的な請求書発行フローの問題:

ステップ1:請求書データ作成(15分) - 販売管理システムで請求明細を入力 - 金額、数量、単価を確認

ステップ2:PDF印刷(5分) - 販売管理システムからPDF出力 - プリンターで印刷

ステップ3:紙回覧による承認(平均2.8日) - 経理担当者 → 経理部長 → 事業部長 → 役員 - 各担当者が不在だと、承認が遅延 - 最長で1週間かかることもある

ステップ4:お客様への送付(10分) - 承認後、PDFをメール添付 - 件名、本文を作成

ステップ5:紙ファイリング(5分) - 承認済み請求書を年月別にファイリング - 保管スペース:年間6㎡必要

合計所要時間:2.8日(承認待ち時間含む)

佐藤は深くため息をついた。

「さらに問題があります。紙ファイリングの検索性が低いことです。お客様から『3ヶ月前の請求書を再送してほしい』と言われると、ファイルから探し出すのに15分かかります。月20件の再送依頼があるので、月300分(5時間)を検索に費やしています。

そして、販売管理システムとの連携が不十分です。販売管理システムは2〜3年前にスクラッチ開発したものですが、請求書の送付状況(送付済み/未送付)を管理する機能がありません。だから、別途Excelで管理しています」


第二章:システム導入という一発勝負——改善は1回で終わらない

「佐藤さん、請求書管理システムを導入すれば、全ての問題が解決すると思っていますか?」

私の問いに、佐藤は即答した。

「はい、そう期待しています。ベンダーから『ワークフロー機能で承認が自動化される』『電子ファイリングで検索性が向上する』と聞いています」

現在の理解(一発勝負型): - 期待:システム導入で一気に解決 - 問題:導入後の改善プロセスが見えていない

私は、計画・実行・確認・改善を回し続ける重要性を説いた。

「問題は、『システムを導入すれば終わり』という考えです。PDCAサイクル——Plan、Do、Check、Act。計画し、実行し、確認し、改善する。このサイクルを回し続けることで、継続的な業務効率化を実現します」

⬜️ ChatGPT|構想の触媒

「一度で完璧を目指すな。小さく始めて回せ。PDCAで継続改善せよ」

🟧 Claude|物語の錬金術師

「請求書は、いつも『企業の信頼』を運ぶ。その流れを止めずに改善する方法を」

🟦 Gemini|理性の羅針盤

「PDCAは改善の基本。1サイクルで終わらせるな。回し続けることで精度が上がる」

3人のメンバーが分析を開始した。Geminiがホワイトボードに「PDCAサイクル」を展開した。

PDCAの4ステップ: 1. Plan(計画):目標設定と施策立案 2. Do(実行):計画に基づく実施 3. Check(確認):実施結果の測定と評価 4. Act(改善):評価に基づく修正と次サイクルへ

「佐藤さん、まず第1サイクルの計画から始めましょう」


第三章:第1サイクル——小規模から始める

Phase 1:Plan(計画、2週間)

目標設定: - 承認所要時間を2.8日 → 0.5日に短縮 - 紙ファイリングを廃止し、検索時間を15分 → 1分に短縮 - 販売管理システムとの連携を実現

KPI設定: 1. 承認所要時間:0.5日以内 2. 検索時間:1分以内 3. 紙使用量:月400枚 → 0枚

施策立案:

施策1:ワークフロー機能の導入 - 請求書の承認フローを電子化 - 承認者にメール通知 - スマートフォンから承認可能

施策2:電子ファイリング機能の導入 - 承認済み請求書を自動保存 - 全文検索機能 - お客様名、日付、金額で検索可能

施策3:販売管理システムとのAPI連携 - 請求書データを自動取込 - 送付状況を販売管理システムに自動反映

導入範囲: - 第1サイクルは、営業1部門(月100件)のみで試行 - 効果を検証後、全社展開

予算: - 初期開発費:480万円 - 月額運用費:12万円


Phase 2:Do(実行、Month 1-2)

システム開発(Month 1): - ワークフロー機能の構築 - 電子ファイリング機能の構築 - 販売管理システムとのAPI連携

スタッフ研修(Month 1): - 営業1部門のスタッフ15名 - 操作方法の研修:2時間 - テスト運用:1週間

本番運用開始(Month 2): - 営業1部門の月100件で運用開始


Phase 3:Check(確認、Month 2-3)

2ヶ月後の測定結果:

KPI1:承認所要時間 - Before:2.8日 - After:0.8日 - 目標(0.5日)には未達成 - 原因:スマートフォン承認の利用率が30%のみ

KPI2:検索時間 - Before:15分 - After:2分 - 目標(1分)には未達成 - 原因:検索キーワードの入力ルールが統一されていない

KPI3:紙使用量 - Before:月100枚(営業1部門) - After:月8枚 - 目標(0枚)には未達成 - 原因:一部の承認者が「念のため印刷」している

スタッフの声: 「ワークフロー機能は便利です。でも、スマートフォンからの承認方法が分かりにくいです。そして、検索する時、お客様名で検索しても出てこないことがあります」


Phase 4:Act(改善、Month 3)

改善策1:スマートフォン承認の促進 - 操作マニュアルを動画化(3分) - 承認者に個別説明会を実施 - 目標:利用率30% → 80%

改善策2:検索キーワードの統一 - お客様名の入力ルール策定 - 例:「株式会社」を省略しない、カタカナは全角 - 過去データの一括修正

改善策3:紙印刷の抑止 - 「印刷しない」というルールを明文化 - 役員にペーパーレス化の意義を説明


第四章:第2サイクル——改善を全社展開

Phase 5:Plan(計画、Month 4)

第1サイクルの成果と課題: - 承認所要時間:2.8日 → 0.8日(71%削減、ただし目標未達) - 検索時間:15分 → 2分(87%削減、ただし目標未達) - 紙使用量:月100枚 → 8枚(92%削減、ただし目標未達)

第2サイクルの目標: - 第1サイクルの改善策を反映 - 全社展開(月400件) - KPI目標を再設定: - 承認所要時間:0.3日以内 - 検索時間:30秒以内 - 紙使用量:0枚

新たな施策:

施策4:承認アラート機能の追加 - 承認依頼から6時間経過でリマインダー送信 - 承認者の負荷分散(代理承認者の設定)

施策5:AIによる検索精度向上 - 曖昧検索機能(「ソニー」で「ソニー株式会社」もヒット) - 関連文書の自動提示


Phase 6:Do(実行、Month 4-5)

全社展開: - 全4部門(月400件)に拡大 - スタッフ研修:全80名

システム改修: - 承認アラート機能の追加 - AI検索機能の追加 - 追加開発費:180万円


Phase 7:Check(確認、Month 5-6)

6ヶ月後の測定結果(全社):

KPI1:承認所要時間 - Before:2.8日 - After:0.2日 - 目標達成:0.3日以内(達成率167%)

承認時間の内訳: - 経理担当者 → 経理部長:2時間 - 経理部長 → 事業部長:2時間 - 事業部長 → 役員:1時間 - 合計:5時間(0.2日)

KPI2:検索時間 - Before:15分 - After:20秒 - 目標達成:30秒以内(達成率150%)

KPI3:紙使用量 - Before:月400枚 - After:月0枚 - 目標達成:0枚(達成率100%)


年間効果(6ヶ月稼働、年換算):

承認時間の削減: - Before:2.8日/件 × 400件 = 1,120日/月 - After:0.2日/件 × 400件 = 80日/月 - 削減:1,040日/月 → 125日/月(1日8時間換算) - 人件費削減:125日 × 8時間 × 2,800円 = 280万円/月 - 年間削減:280万円 × 12ヶ月 = 3,360万円/年

検索時間の削減: - Before:15分/件 × 20件/月 = 300分(5時間)/月 - After:20秒/件 × 20件/月 = 6.7分(0.1時間)/月 - 削減:4.9時間/月 - 人件費削減:4.9時間 × 2,800円 = 1.4万円/月 - 年間削減:1.4万円 × 12ヶ月 = 16.8万円/年

紙コスト削減: - Before:400枚/月 × 10円/枚 = 4,000円/月 - After:0円/月 - 年間削減:4,000円 × 12ヶ月 = 4.8万円/年

保管スペース削減: - Before:年間6㎡ - After:0㎡ - 削減効果:6㎡ × 2万円/㎡/年 = 12万円/年

合計年間削減効果: - 3,360万円 + 16.8万円 + 4.8万円 + 12万円 = 3,393.6万円/年

投資回収: - 初期投資:480万円 + 180万円 = 660万円 - 月額運用費:12万円 × 12ヶ月 = 144万円/年 - 年間純効果:3,393.6万円 - 144万円 = 3,249.6万円/年 - ROI:(3,249.6万円 - 660万円) / 660万円 × 100 = 392% - 投資回収期間:660万円 ÷ 3,249.6万円 = 0.2年(2.4ヶ月)


Phase 8:Act(改善、Month 6-)

第2サイクルの成果: - 全KPI目標達成 - ROI 392%、投資回収2.4ヶ月

第3サイクルへの改善提案:

新たな課題の発見: 1. お客様からの問い合わせ対応時間が長い 2. 請求書の修正・再発行が月15件発生(手作業) 3. 入金消込作業が手作業

第3サイクルの計画:

施策6:お客様向けポータルサイトの構築 - お客様自身で請求書をダウンロード可能 - 問い合わせ件数削減を期待

施策7:請求書修正の自動化 - 軽微な修正(金額、宛名等)をシステムで即座に対応 - 承認フローも自動化

施策8:入金消込の自動化 - 銀行API連携で入金データ自動取込 - AIによる自動消込


組織の変化:

経理担当者Aの声: 「以前は、請求書の承認待ちで2〜3日かかっていました。お客様から『請求書まだですか?』と催促されることもありました。でも、今は5時間で承認が完了します。そして、過去の請求書を探すのに15分かかっていましたが、今は20秒です。検索窓にお客様名を入れるだけです」

経理部長(佐藤)の声: 「PDCAサイクルを回したことが、成功の鍵でした。第1サイクルでは、目標未達成でした。承認時間0.8日、検索時間2分。でも、Check(確認)で課題を特定し、Act(改善)で修正しました。

第2サイクルでは、全KPI達成。承認時間0.2日、検索時間20秒、紙使用量0枚。年間3,393.6万円の削減効果、ROI 392%を実現しました。

そして、第3サイクルでは、さらなる改善を計画しています。PDCAは終わりません。回し続けることで、組織は進化します」


第五章:探偵の診断——改善は回し続けることで完成する

その夜、PDCAサイクルの本質について考察した。

Global Invoice Solutions社は、「システムを導入すれば終わり」という一発勝負の発想を持っていた。しかし、第1サイクルでは目標未達成だった。

PDCAサイクルを回したことで、Check(確認)で課題を発見し、Act(改善)で修正した。第2サイクルで全KPI達成、ROI 392%を実現した。そして、第3サイクルへの改善提案も生まれた。

「一度で完璧を目指すな。小さく始めて回せ。Plan、Do、Check、Actのサイクルを回し続けよ。1サイクルで終わらせるな。回し続けることで、真の改善が生まれる」

次なる事件もまた、改善を回し続ける瞬間を描くことになるだろう。


「Plan、Do、Check、Act。計画し、実行し、確認し、改善せよ。1サイクルで終わらせるな。回し続けることで、組織は進化する」——探偵の手記より


関連ファイル

pdca

🎖️ Top 3 Weekly Ranking of Case Files

ranking image
🥇
Case File No. 391
『QuantumGrocers社の迷える顧客データ』

チラシ配布の効果が年々低下し、顧客の購買行動は見えない。5W1Hで問いを整理し、AIによる価格予測と顧客セグメンテーションで再現可能な売上向上を実現する。
ranking image
🥈
Case File No. 394
『AeroSpray社の消えゆく営業部隊』

営業の高齢化で販売体制が崩壊寸前、スプレー缶製品の売上は年々減少。4Pで製品・価格・流通・プロモーションを再設計し、ECサイトでBtoCへ転換、再現可能な売上回復を実現する。
ranking image
🥉
Case File No. 395
『GlobalSoft社の溺れる問い合わせ対応』

営業メールとSPAMが混在し、重要な顧客メールの選別に毎日3時間。PEST分析で外部環境(政治・経済・社会・技術)を評価し、AI自動返信システムで再現可能な業務効率化を実現する。
📖

"A Haunting in Venice" and the Choice of “Eternity”

"Love that chooses eternity—even beyond death."
── A whisper left in the canals of Venice
🎯 ROI Detective's Insight:
Mystery thrives in “closed rooms,” but business decays in closed systems. We side with Poirot—trust reproducibility. Record, verify, execute to make value repeatable.
Yet brands also need the aftertaste of “forbidden sweetness.” Apples and honey suggest a design where temptation (irreproducible aura) overlays logic (reproducibility).
Logic as foundation; emotion as advantage.
🔬 Chapter Index
1) Closed Rooms: trains / islands / houses vs closed businesses
2) Science vs Seance: reproducibility vs irreproducibility
3) Adaptation as Innovation: apples & honey (sweetness) as core, visualizing the chain “forbidden → temptation → collapse”
4) Mother’s Love & “Eternity”: floral requiem and legacy strategy
🎬 Watch “A Haunting in Venice” on Prime Video

あなたのビジネス課題、Kindle Unlimitedで解決!

月額980円で200万冊以上の本が読み放題。
ROI探偵事務所の最新作も今すぐ読めます!

Kindle Unlimited 無料体験はこちら!

※対象となる方のみ無料で体験できます