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要約カード

JA 2026-06-28 23:00
JTBD業務効率化AI活用

Globex Corporation社の経理効率化依頼。JTBDが解き明かした、手段が目的化したExcel作業と、片付けたいジョブで業務を捉え直す自動化設計。

ROI事件ファイル No.549『資料を作ることが、いつのまにか仕事になっていた』

JA 2026-06-28 23:00

ICATCH

資料を作ることが、いつのまにか仕事になっていた


第一章:Excel資料を作ることに、時間が消えていく

「経理のExcel資料作成に、時間がかかりすぎているんです。AIで効率化したい」

Globex Corporation社の経理部長、桝田達也氏は、そう言いながら状況を語った。「うちは複数のシステムを使っていて、それぞれマスター管理が別々なんです。データを突き合わせて、Excelで資料を作る。この作業に、毎月膨大な時間が消えている」

「ほかに、効率化を妨げているものは」とClaudeが尋ねた。

「マニュアルが古いんです」と桝田氏が答えた。「五年から十年前に作ったものが、更新されていない。アナログな業務も多くて、社内にAIに詳しい担当者もいない。どの業務にAIを使えばいいのか、判断できる人がいない」

「その資料は、何のために作っているのですか」と私が確認した。

「……改めて聞かれると」と桝田氏が答えた。「資料を作ること自体が、いつのまにか目的になっている気がします。本当は、経営判断に使うデータを揃えたいだけなのに、Excelを整えることに時間を取られている」

「作業の手順ではなく、本来片付けたい用事から捉え直す必要がありますね」と私が応じた。「JTBDで分解しましょう」

第二章:JTBDが問う、本当に片付けたい用事

「この案件には、JTBDが必要です」

Claudeがホワイトボードに「JTBD」と書いた。

「JTBD——Jobs To Be Done、片付けるべき用事とは、人が本当に達成したい目的から業務や製品を捉え直すフレームワークです」と私が説明した。「肝は、手段と目的を取り違えないこと。Excel資料の作成は手段で、本当の用事は『判断に使えるデータを揃える』こと。手段が目的化すると、資料を作ること自体に時間が消える。業務を片付けたい用事として再定義し、AIで代替できる手段を見つける道具です」

「まず現状のコストを測りましょう」とGeminiがROI Polygraphを開いた。桝田氏から提供されたデータを入力する。

「月間のコストが出ました」とGeminiが読み上げた。「Excel資料作成の手作業工数が月平均百九十時間、時給四千二百円で月七十九万八千円。複数システムのマスター管理分断による突合・二重管理工数が月平均五十万円。五〜十年前の未更新マニュアルによる手戻り・問い合わせが月平均三十五万円。AI活用判断不能による施策停滞の機会損失が月平均三十八万円。資料作成の属人化リスク期待値が月平均三十三万円。合計で月二百三十五万八千円。年間換算で約二千八百三十万円」

桝田氏が数字を見つめた。「Excelを作る時間だけだと思っていました。マスターの突合や、判断できないこと自体のコストまで入れると、これほどとは」

「では、JTBDで設計します」と私が続けた。


[ジョブの再定義——本当の用事を見つける]

「最初に、業務を片付けたい用事として捉え直します」とClaudeが言った。「『Excel資料を作る』ではなく『判断に使えるデータを揃える』が本当の用事。手段ではなく用事で見ると、Excelを整える作業の多くが、用事に直結していないと分かります」


[手順の洗い出し——用事に要る手順を辿る]

「次に、用事を果たすための手順を辿ります」とGeminiが続けた。「資料作成のどの手順が用事に必要で、どこが手段の都合で生まれた無駄か。手順を洗い出すと、AIで代替できるポイントが見えます」


[AI代替——手段を自動化する]

「代替できる手段を、AIに渡します」と私が続けた。「データ入力の自動化でExcel作成時間を削り、システム間のデータ連携を自動化してマスター突合の煩雑さを解く。用事は人が持ち、手段はAIが担う仕分けです」


[マニュアル更新——用事を手順に残す]

「最後に、用事に沿った手順をマニュアルに残します」とClaudeが続けた。「古いマニュアルを、用事を果たす最新の手順に更新する。手段が変わっても、用事が継承される構造です」


[投資回収を試算する]

ROI Proposal Generatorで試算しましょう」とGeminiが提案した。

  • 初期費用:業務ジョブの再定義・データ入力自動化ツール導入・システム間データ連携・マニュアル整備・研修費用合計五百万円
  • 月次費用:ツール利用料・運用継続費合算月二十二万円
  • 月次削減効果:Excel資料作成の自動化=月六十二万円(八割削減想定)、マスター連携による突合工数削減=月四十万円、マニュアル整備による手戻り削減=月二十六万円、施策停滞の解消=月二十八万円、合計月百五十六万円
  • 月次純削減:百五十六万円-二十二万円=月百三十四万円
  • 投資回収期間:五百万円÷百三十四万円=約三・七ヶ月

「四ヶ月弱の回収です」とGeminiが整理した。「効くのは、Excelを速く作るのではなく、Excelを作る用事そのものを問い直す点です。用事に直結しない作業はそもそも要らない。片付けたい用事から捉え直すから、手段を自動化するだけでなく、無駄な手段ごと消せます」

桝田氏が数字を確認しながら言った。「資料を速く作る、としか考えていませんでした。本当の用事から見ると、作る必要のない資料もある。手段が目的になっていた」

「JTBDは、手段の効率化ではなく用事そのものを問う道具です」と私が応じた。

第三章:用事から捉え直す導入計画

「進め方を整理します」と私がホワイトボードの前に立った。

「第一ヶ月——業務のヒアリングとジョブの再定義、本当の用事の特定。第二ヶ月——手順の洗い出し、用事に直結しない作業の選別。第三・四ヶ月——データ入力自動化とシステム間連携の構築。第五ヶ月——用事に沿ったマニュアルの整備。第六ヶ月——試験運用と効果検証。第七ヶ月以降——AI活用範囲の拡大、判断に使えるデータ基盤の定着」

「AIに詳しい人が社内にいないのですが」と桝田氏が確認した。

「用事から入るから、それで構いません」とClaudeが応じた。「AIに詳しくないと判断できないのは、手段から考えるからです。『どの用事を片付けたいか』が先に決まれば、それに合う手段を選ぶだけ。用事が羅針盤になるから、AI知見がなくても、どこに使うかが決まります」

桝田氏がメモを取りながら言った。「作業の効率化ではなく、用事そのものを問う。順序が逆でした」

第四章:資料作成が、用事に戻った日

九ヶ月後、桝田氏から報告が届いた。

Excel資料作成は、自動化ツール導入後、工数が大幅に削減。「データ入力が自動になって、資料を整える時間が消えた。手で作っていた作業が、ほぼ自動で揃う」と桝田氏は記していた。

マスター管理の分断も解消に向かった。システム間のデータ連携が自動化され、突合の手間が減った。「別々のマスターを突き合わせる作業がなくなった。二重管理から解放された」と報告書にあった。

最も大きな変化は、仕事の捉え方に表れた。資料を作ること自体が目的だった状態から、用事に時間を使えるようになった。「Excelを整えることに消えていた時間が、判断に使えるデータを揃えることに戻った。手段が目的に逆転していたと気づいた」と桝田氏は記していた。

古いマニュアルも更新された。用事に沿った最新の手順に書き換えられた。「五年前のまま放置されていたマニュアルが、今の用事を映すものになった」と報告書にあった。

副次効果として、AI活用の判断ができるようになった。用事を起点に考える発想が、AIをどこに使うかの基準になった。「AIに詳しくなくても、『この用事を片付けたい』から逆算すれば、どこに使うか決まる」と桝田氏は記していた。

桝田氏の報告書の最後にはこう書かれていた。「経理の悩みは、資料作成の手間だと思っていた。だが本当の問題は、資料を作ること自体が目的になっていたことだ。JTBDで用事から捉え直した瞬間に、要らない作業まで見えた。手段の効率化ではなく、用事を問うことが先だった」

資料を作ることが仕事になっていた会社が、用事に時間を使える会社に変わった日、業務効率化は手段を速くする作業から、片付けたい用事を問い直す設計に変わっていた、と記されていた。

「業務効率化の相談は、たいてい『この作業を速くしたい』という形で来る。だが速くする前に問うべきことがある。その作業は、本当に必要な用事に直結しているか。JTBDが問うのは、人が本当に片付けたい用事だ。Excel資料の作成は手段で、用事は判断に使うデータを揃えること。手段が目的化すると、作ること自体に時間が消える。資料を作ることが仕事になっていた会社が、用事に戻れた日、変わったのはAIツールではなく、手段ではなく用事を問い直す視点そのものだった」


関連ファイル

jtbd

使用ツール

  • ROI Polygraph — Excel資料作成工数・マスター突合工数・施策停滞コストの可視化
  • ROI Proposal Generator — 片付けたい用事を起点にした業務効率化の投資回収シミュレーション

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