ROI事件ファイル No.579『使われない理由を、内側だけで探していた』
![]()
使われない理由を、内側だけで探していた
第一章:使われない、だが理由が分からない
「SharePointで作った社内ポータルを、もっと使われるようにしたいんです」
TechNova社のポータル担当マネージャー、三雲望氏は、そう言いながら状況を語った。「二年前に、大々的に立ち上げました。でも、社員がほとんど使わない。みんなTeamsで情報を共有している。前職ではGoogle Workspaceを使っていて、SharePointの知識が乏しく、八方塞がりで」
「使われない理由を、どう探していますか」とClaudeが尋ねた。
「自分たちのポータルの中を、見直しています」と三雲氏が答えた。「どこが使いにくいか、情報の並べ方が悪いのか。社内の設定を、あれこれいじって。でも、なぜ使われないのか、理由がつかめない」
「使う社員の声や、他社のポータルは、見ましたか」と私が確認した。
「……見ていません」と三雲氏が答えた。「自社の中だけで探していました。使う社員が何に困っているか、他社はどう作っているか。外から見たことがない」
「使われない理由を内側だけで探しても、つかめませんね」と私が応じた。「3Cで分解しましょう」
第二章:3Cが問う、顧客・競合・自社の三方から見る
「この案件には、3Cが必要です」
Claudeがホワイトボードに「顧客・競合・自社」と書いた。
「3C——顧客・競合・自社の三つの視点とは、問題を三方から見て、原因と打ち手を見極めるフレームワークです」と私が説明した。「肝は、自社の中だけで探さないこと。使われない理由は、使う社員(顧客)の声と、他社(競合)の作りを見て初めて分かる。三方を突き合わせるから、内側では見えなかった原因が浮かぶ。外から見る道具です」
「まず現状のコストを測りましょう」とGeminiがROI Polygraphを開いた。三雲氏から提供されたデータを入力する。
「月間のコストが出ました」とGeminiが読み上げた。「情報が探せずポータルが使われないことによる探索工数が月平均百六十時間、時給三千七百円で月五十九万二千円。Teams併用による情報の二重化・分散が月平均四十万円。ポータル未活用による導入投資の空振りが月平均三十六万円。情報過多による必要情報への到達遅延が月平均三十四万円。属人的な運用による更新の停滞が月平均三十万円。合計で月百九十九万二千円。年間換算で約二千三百九十万円」
三雲氏が数字を見つめた。「使われないことだけ見ていました。二重化や投資の空振りまで足すと、これほどとは」
「では、3Cで設計します」と私が続けた。
[顧客——使う社員の声を聞く]
「最初に、顧客です」とClaudeが言った。「使う社員にアンケートを取り、使わない原因を洗い出す。分かりにくいUI、散在する情報、必要な情報へのアクセスの悪さ。内側の推測でなく、使う人の声から原因を掴みます」
[競合——他社のポータルを見る]
「次に、競合です」とGeminiが続けた。「他社のポータルを調べる。シンプルなデザイン、直感的なナビゲーション、ダッシュボードで重要情報が一目で分かる設計。自社に足りないものが、外を見て浮かびます」
[自社——役割と使われ方を見直す]
「競合の次に、自社です」と私が続けた。「現在のポータルの役割と使われ方を再評価する。情報が過多で整理されておらず、社員が探すのに苦労している。顧客と競合を踏まえて、自社の弱みを正確に掴みます」
[統合——三方を突き合わせて打ち手を出す]
「最後に、統合です」とClaudeが続けた。「三方の見立てを突き合わせる。UIをシンプルに、ダッシュボードで一目に、フィードバックで継続改善。三つを揃えたから、内側では見えなかった打ち手が出ます」
[投資回収を試算する]
「ROI Proposal Generatorで試算しましょう」とGeminiが提案した。
- 初期費用:三方分析(社員調査・競合調査・自社評価)・UI刷新・ダッシュボード構築・情報整理・継続改善設計費用合計四百八十万円
- 月次費用:ポータル運用・保守継続費合算月二十万円
- 月次削減効果:情報探索の効率化=月四十二万円(七割削減想定)、情報分散の解消=月三十四万円、ポータル活用による投資回収=月二十八万円、到達遅延の解消=月二十八万円、合計月百三十二万円
- 月次純削減:百三十二万円-二十万円=月百十二万円
- 投資回収期間:四百八十万円÷百十二万円=約四・三ヶ月
「四ヶ月強の回収です」とGeminiが整理した。「効くのは、自社の中だけで探さず、三方から見る点です。内側をいじるだけでは、使われない原因はつかめない。顧客の声と競合の作りを見るから、原因も打ち手も浮かぶ。投資が空振りしません」
三雲氏が数字を確認しながら言った。「自社の中を見直せば済むと思っていました。顧客と競合を見ないと、原因が掴めない」
「3Cは、顧客・競合・自社の三方から見る道具です」と私が応じた。
第三章:三方から見る導入計画
「進め方を整理します」と私がホワイトボードの前に立った。
「第一ヶ月——社員アンケートによる顧客分析と、競合ポータルの調査。第二ヶ月——自社ポータルの役割・使われ方の再評価と、三方の突き合わせ。第三・四ヶ月——UIの刷新とダッシュボードの構築。第五ヶ月——情報の整理とフィードバック収集の仕組み化。第六ヶ月——試験運用と効果検証。第七ヶ月以降——継続的な改善、活用範囲の拡大」
「自社のポータルを直せば、使われるようになりますよね」と三雲氏が確認した。
「内側を直すだけでは足りません」とClaudeが応じた。「使われない原因は、使う社員の声と他社の作りを見ないと掴めない。内側の推測で直しても、的を外す。3Cで三方を突き合わせれば、原因が浮かび、打ち手が的を射る。外から見ることが、内側をいじるより先です」
三雲氏がメモを取りながら言った。「自社の中を見直す前に、三方から見る。順序が見えました」
第四章:三方から見て、使われはじめた日
十ヶ月後、三雲氏から報告が届いた。
ポータルは、三方分析の後、使われるようになった。「分かりにくかったUIが、シンプルになった。社員が、自然にアクセスするようになった」と三雲氏は記していた。
情報の分散も解けた。ダッシュボードが、重要情報を一目で見せた。「Teamsに逃げていた情報共有が、ポータルに戻ってきた。二重化が減った」と報告書にあった。
最も大きな変化は、原因の探し方に表れた。自社の中だけで探す状態から、三方から見る状態に変わった。「設定をいじってばかりいた。使う社員の声と他社の作りを見たら、なぜ使われないかが一気に見えた」と三雲氏は記していた。
到達も速くなった。情報の整理が、必要な情報への遅れを解いた。「情報過多で探せなかったのが、目当てにすぐ届くようになった」と報告書にあった。
副次効果として、改善の見方が変わった。内側だけでなく三方で見る発想が根づいた。「自社を見直す、で終わらせるのをやめた。顧客と競合と自社の三方から、で考えるようになった」と三雲氏は記していた。
三雲氏の報告書の最後にはこう書かれていた。「ポータルの悩みは、自社の作りの悪さだと思っていた。だが本当の問題は、使われない理由を、内側だけで探していたことだ。3Cで三方から見た瞬間に、原因も打ち手も見えた。自社の中を見直す前に、三方から見ることが先だった」
使われない理由を内側だけで探していた会社が、三方から見て改善できる会社に変わった日、ポータル改善は自社の中の見直しから、顧客・競合・自社の三方から見る設計に変わっていた、と記されていた。
「ポータル改善の相談は、たいてい『自社の作りを直したい』という形で来る。だが内側をいじる前に問うべきことがある。使う人と他社を、見ているか。3Cが問うのは、顧客・競合・自社の三つだ。三方を突き合わせれば、内側では見えなかった原因が浮かぶ。使われない理由を内側だけで探していた会社が、三方から見られた日、変わったのはポータルの作りではなく、顧客・競合・自社の三方から見る視点そのものだった」
関連ファイル
使用ツール
- ROI Polygraph — 情報探索工数・情報二重化・導入投資の空振りの可視化
- ROI Proposal Generator — 顧客・競合・自社の三方分析を起点にした社内ポータルサイト改善の投資回収シミュレーション